轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

ですから私は、いつ、どこで、そういう時に遭っても、あなたへの最後の挨拶の言葉だけはつたえたいと思って、ちゃんと書いて咲枝にずけてあったの、もう二年ほど前から。だってそうでしょう? こんなに互に熱心に生き、この世でめぐり会えた歓びを感じているのに、うれしかったとも云わずいなくなるなんて、承知出来ないことですもの。

二十一日入院ときまったとき、あなた宛にあの手紙かいて、咲枝に万一私が根治してしまったら「あれ」をそちらへ送るように、そうたのんで、それから又別に私たちの生活の事務的なことすっかり箇条書にして、なかなか二時間が忙しかった。今は、もうそういう「あの手紙」もさし当りは不用になったし、よかった。臥ていると、まだ小さい「C」と逆向きの「C」がかみ合わさったような形の図こんな形の渦が見えるようで、それは生と死とで、短い時間のうちにキリキリと一廻りしたという感じがつよくあります。これは一種特別な感じ。手術をうけたりすると、誰でも感じるのかしら。切迫した何時間、その間にキリキリとこういう形で生と死が廻ったという感じ。

手術が終った二十一日の夜は譫語が云いたくて困った。