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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
それにすこし話がおできになった由。「隆ちゃんも出征したらどうなろうかいの」とお母さんがおっしゃったら、「どうにかなる」と云っていらしたそうです。すこしの間仲なおりというような御様子だったのでしょう。私は八日の九時前にこちらに着きました。その日の午後二時に、三軒のお寺から坊さんが四人来て七条の袈裟をかけて式をはじめ、家の横の寺へ行って又式をしてから火葬場へ運びました。この日は雨が大降りになるかと思うと又やむという空模様で、大雨の間と間とに事を運んだ形です。火葬にはこの辺ではしないのだそうですが、墓地が臨時なので、(野原の方はその大建造物(自注5)の敷地に入るので近く移らねばならず、今の場所〈家の上の寺〉は崖っぷちしかないので近くましなところへお買いになる由)火葬にしたわけでした。秋本精米の主人、富雄、隆治ともう三人ばかりの男のひとたちがおともしました。
翌日はお骨上げ。やはり降ったり照ったりでしたが、お母さんと女のひと三人がゆきました。私は留守居。おかえりになった夜、坊さんが来て読経し、その坊さんとお母さん、隆ちゃん、私とリンさんという若衆とでお墓へお納めしました。