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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

お金をお送りいたしました。

きのうはこっちはひどい大雨で、トンネルがくずれたり列車不通になったりしました。うちは、店へもし川水が上ったら大きなものを動かせないから心配しましたがそれはまぬかれた。けれども夕方下松へトラックで行った隆ちゃんがひどくビッコを引いてかえって来た。高山の石油のドラムカン(大きい円いの)をつんで行って、仲仕が荒れなのでついて来ず、雨ぐつがすべって左の足の拇指のところを落ちて来たカンでぶった由、うち身になってひどくなっている。早速ヨーチンをかわせ、氷をかわせ、私と多賀ちゃんが看護婦になって手当をした。夜中三時頃おきて又氷をかえてやった。きょうは動かず臥ています、「臥ているのも辛うあります、お父さん大抵えらかったいのう」と云っている。でも大丈夫です。骨がどうということはないでしょう、五十貫近いものらしい。甲に落ちたら卒倒していたでしょうね。

壺井繁治さんからは中村やのおまんじゅうを、手塚さんからは五円お供えを送って下さいました。それぞれお礼を出しました。三十五日には、おかたみ分けをなさるそうですが、お父さんは永年臥たきりでいらして着物もないので、おかたみ分けには新しいものをお買いになります。