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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

その時にはボートがするすると海中に姿をかくしはじめていた。

司令官が無電室からの報告と、怪しい少年、少女について報告をうけとったのは、それから二、三分経ってからのことだった。

ジョンソン大尉の捜索の結果は聞くまでもなかった。

時を移さず追跡が命ぜられた。二隻のYボートが英夫たちを追跡した。

英夫は、前進ボタンを押すまでYボートが前進、後進とも磁力でするのだとばかり思っていたが、前進は内部の電気装置で自力でするらしく、ジーンと唸る電動装置がついているのに気がついた。

これはボートが故障をおこしたような場合でも、あの強力な格納庫の磁力で、引き寄せられ、敵にボートの秘密を知られずにすむ、周到な用意がされているのだ。

反対に、自力発電装置がついているお蔭で、英夫たちは要塞の磁力に妨げられないで自由に針路を変えられるわけだった。

「電動装置のお蔭で助かったけど、うっかり海面へ出ると見つかってしまうかも知れないな」

「そうよ、きっと追跡して来るわ」

「もうそろそろ爆発しそうなもんだね、海底要塞が爆発してしまいさえすれば、いくら追跡して来られたって、ちっともこわくないさ、根拠地がなくなれば、Yボートだって、お母さんのいない赤ちゃんのようなもんだからね……そろそろ上昇……」