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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
「あら、海水浴をしているわ」
祥子が目を見はったあたりに、破れた鉄条網をくぐって、すっ裸で海にとびこんでいるおびただしいひとびとの群がいた。
「捕虜の連中です、のんびりしているでしょう、はっはっは」
艇長が笑った。
軍港の桟橋に、三人のひとびとが英夫たちを待ちうけていた。
一人は白い背広を着た平林大尉、一人は軍服に兜帽をかぶった鳥尾軍医、もう一人は白いターバンを頭に巻いた、見知らないインド人だった。英夫の兄は出迎えに来ていないらしかった。
三人は、英夫たちや桟橋まで見送ってくれた艇長に手を振って歓迎してくれた。
インド人は艇長の方につかつかと歩みよると、丁寧にあいさつをのべ、二人で何か熱心に話しだした。
「いよう、えらいことをやったなあ!」
平林大尉がどしんと英夫の肩に両手をのせた。
「やあ、英夫君おめでとう、僕もとうとうこっちへやって来たよ、ついこないだは東京の大雪の中で会ったっけなあ、あっはっはっは」
鳥尾大尉が、見ちがえるほど陽にやけている。
「これが祥子さんかい、あんなどえらいことをやるような娘さんには見えないじゃないか……君たちに先をこされてしまって、すっかりがっかりしてしまったよ、はっはっは」