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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
「そんなことなら試験ずみですよ、ボルネオへ行くのは兄さんと二人っきりですか?」
「もちろん、失敗すれば兄さんは生きてかえれんのだ、しかし、確信はある、世界をあっとおどろかしてやるんだ」
「僕たち、たった二人の兄弟ですから、兄さんと一緒ならどんなことがあったっておどろきませんよ」
「うむ、そうだ、そのつもりでお前も頑張れ!」
パンとコーヒーの朝飯がすむと、祥子は、叔父さんと王様へお別れの挨拶に出かけて行った。祥子の叔父さんの、ゴム園のある、バトパハも、今は安全な土地になり、叔父さんは近いうちに祥子を連れて、バトパハへ、出発することになっていた。
「こいつは、祥子さんにも関係のあることなんだが、祥子さんには叔父さんが話されるはずだから……」
と、謙一は、話しだした。
「はじめから話さんと、お前にものみこめないかも知れんから、退屈だろうが我慢して聞くんだな」
退屈どころか、英夫は、はじめから、その話を熱望しているのだ!
謙一の話は、小説を読むような、珍らしい、興味のあるものだった――。
日本人が、南の荒海をこえて、活溌に海外へ渡航しだしたのは、大体鎌倉時代の末、今から六百年ほど前からのことだ。