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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
さっきからしきりに考えているのだが、兄の友達なのだろうか、それとも別な人なのだろうか。それとも軍人なのか、実業家なのか、役人なのか、そういう大体の目安さえもついていないのだ。ただ漠然と考えられるのは、兄の友達かも知れないということだけだった。
「兄さんの友達でしょう」
ずばりと、いいあてたつもりだった。
曹長は不意に笑い出した。
「は、は、は、先刻からだいぶ考えておいでのようでしたね……お友達というよりは、中尉殿の上官です。……ある将軍です」
一気に、そこまでいってしまうと、英夫の耳に顔を寄せて、
「上川中将閣下ですよ」
とささやいた。
「えっ! 上川中将ですって――」
あまりの意外さに、おどろいた。
上川中将といえば、有名な将軍だった。今は何をしておられるか英夫も知らなかったが、そういえば、兄中尉や若い将校たちが、英夫の家の書斎に集って、話し合ったりする時、たびたび出て来た名前だった。だが将軍が兄の上官であるという以外にどんな関係があるのか、一どもお目にかかったこともなかったし、写真でお顔を知っているくらいなものだった。
「すぐお会いするのでありますから、もうお話ししても宜しいわけですが、実は、将軍のおいいつけであなたをお迎えに上ったのです。