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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

「怪潜水艦に襲われたという無電があったきりで、台北へも、香港へも何の消息もないそうであります」

部下からの報告で、上川将軍は眉をひそめた。あの飛行機には、ボルネオ探険のために特に渡航を許された英夫のほか、その怪潜水艦の根拠地をつきとめて、一挙に葬り去ろうという特別の任務を帯びた平林大尉や、そのほかまだ、それぞれに重大な任務を帯びた陸海軍の将校が乗っていたはずである。

それを知っていて襲ったのであろうか。それとも偶然通りかかった飛行機を襲うつもりで襲ったのであろうか?

偶然だとすれば、悲しい知らせではあるが、あきらめのつかないことではなかった。

だが、もし、そのことを知っていて襲ったとすれば日本軍にとって重大な問題だった。――そうした秘密が敵に筒抜けになっていることが想像出来るからである。

これは日本の軍隊にとっても、国にとっても、おそろしい危険で、大東亜戦争の作戦がそのことだけで非常に困難なものにされるおそれがあった。

さすがの将軍も、この報告をうけた時には深いため息をついた。

陸海軍からも捜索機が出され、台湾の全島や澎湖島、対岸の福建、広東両省の大陸沿岸東沙島やフィリッピンのルソン島まで、不時着しそうなところは、残らず捜索された。