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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
汽車の掃除に塩を撒かせる位な事は一令の下に実行が出来るでありませんか。そういい出すと根本の政治界から改良しなければなりませんが全体我邦の政治というものは何をしているのでしょう。年々歳々政府と議会と感情的の喧嘩ばかりしていて国家の文明を進める仕事は滅多にした事がない。自分免許の政治家と名乗っている人が家では天保時代の台所で野蛮風の食物を喫して、外へ出ると待合で酒を飲んで芸者を引張るという有様ではどうして一国の文明を進められましょう。一国の文明を進めんと欲すれば先ず一家の文明を進むべし、一家の文明を進めんと欲すれば先ず一身の文明を進むべし、一身の文明を進めんと欲すれば先ず三度の食物を文明的に改良すべしとこういう順序になって来ますね」広海子爵「アハハ何でも食物へ引張り付ける。しかしながら食物が生存の大本であると思えば一日も等閑には出来ません。先刻のお話にライスカレーの事が出ましたが我輩は至ってライスカレーが好です。モシお登和さん、ライスカレーの拵え方を玉江に教えてやって下さいませんか」お登和嬢「ライスカレーには英吉利風の澄んだのと印度風の濁ったのとその外色々の拵え方があります。