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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
こうしてみると我々の政治論なぞは随分迂闊千万なものですな」中川「アハハ失礼ながら今の世の議論は大概迂闊ならざるはなし。譬えば今の政治家が急に思い付いたように勤倹貯蓄の必要を国民に説き出しました。これも一段の進歩で誠に結構な事ですが貯蓄とは何でも金を溜める事だと心得て三度食う飯を二度にしても金を溜めろという風に説くものがあります。これが迂闊千万でありませんか。貯蓄とは有形の力即ち金銭を貯蓄して資本を殖すと同時に無形の力即ち体力心力を貯蓄してその資本を利用するようにしなければならんのです。金銭の資本が出来た時分に体力が弱くなって病人然としていたら何の仕事が出来ますか。一方には無駄な贅沢即ち酒道楽や女道楽に浪費する金銭を節し身分不相応の下駄や帽子に外見を張るような事を制して金銭を貯蓄し、一方には滋養分ある食物を衛生的に料理して身体の力と精神の力を貯蓄するようにしなければ何の役に立ちません。世人は倹約という言葉を直ぐ食物へ持って来るのは大間違です。倹約とは不生産的の入費を節して生産的の入費へ向る事です」ととかく談話が横路へ外る。
第二百二十三 吃逆の薬の挿画