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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

秋の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页

青空文庫

の人が家庭教育研究会の依托を受けて欧米の家庭教育を取調べてくれれば独りその会のためのみならず我が日本国の公益になる、大原君なら実に適任だ、研究会の人々に話せば一同が大悦びするだろう、どうだね大原君が一つ海外へ出かけてくれまいかとこういう子爵のお話しさ。僕も至極好機会だと思って研究会の方を貴老から纏めて下さいとくれぐれも子爵に頼んで来たがこれさえ出来れば至極の名案でないか」と中川の心には最早大原を救い得たる如く思う。お登和嬢も幾分か胸中の愁を忘れたり。独り冷々然たる小山「中川君、モー少し早いと名案に違いないがモー既に婚礼の約束が済んだからね。大原君が洋行するにしても婚礼を済ませて後という事になるだろう」中川「サア其処だテ、其処を旨く切り抜けてともかくも婚礼は帰朝の後という事にさせたいのだ。この事は是非一つ君の御尽力を願うから君が一つ大原君に説いて婚礼延期の事を取計ってくれ給え」と、兄は妹のために心を砕く。妹のお登和嬢何事も言わねば頻に小山を仰ぎ見て窃に答を待つ如し。小山もイヤと言われず「よろしい、僕が一つ出来るだけ尽力してみよう」と親友の承諾は何よりも頼もし。