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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
何故に白き魚を用ゆる時バターを使用するや、
何故に魚を料理する時レモン汁かあるいは酢を用ゆるや、
とこういう風に一々その原理から調べる。外の問題を読んでみ給え。
何故に砕きたるジャガ芋は丸の物より甘味多きや、
イーストにて製したるパンは何故に消化良きや、
窒素質の食物とは何であるか、
炭素質の食物とは何であるか、
鉱物質の食物とは何であるか、
何故に米をバターミルク等にて料理するか、
学生の食物には如何なる物を与うべきや、
小児の食物には如何なる物を与うべきや、
労働者は何を食すべきや、
何故に光りたるブリキ蓋は曇りたる蓋より長く食物の温度を保つか、
何故に鶏卵の古きものは新しきものより光沢を帯ぶるや、
何故にスープは白湯よりも長く温度を保つや、
何故に牛乳は水より速に沸立つや、
とまだまだ沢山あるが、牛肉の処でも野菜の処でも一々皆なその原理を質してから料理法に移る。生徒が料理を稽古する前に先ずその原理としてこういう事を教えられる。即ちこれが料理の根本だ。衛生上の原理を知らずに食物を料理したとて何の役に立たん。原理を覚えてから段々料理法を習うから、なるほどこの食物はこういう訳で何と何に使うとか、こうすれば人体の毒になるとか薬になるとか一々品物の応用法が解る。