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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

秋の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页

青空文庫

私どもも毎度ブリキ屋に造らせました。知った家では下男が自分で鉄板を買って造ったのもあります。それでも役に立ちました。つまり上と下へ火の利くように鉄板の四角な箱を拵えて前を開き戸にしておけばその中で西洋料理は何でも出来るのです。七輪へかけるなら辷らないように木の枠を七輪の方へ箝めればよし、火鉢へでも囲炉へでも好き自由にかかりますからかえって自分で造らせた方が大小長短自在なものが出来ます」玉江嬢「テンピには中段があってブリキ皿を二重に入れられますが今まで先生は一度も二重の皿をお使になった事がありませんね」お登和嬢「さようです、中段に鉄架のようなものがあって上下へブリキ皿の載るようになっていますが一度に二色の品を入れて焼くのは無理です。上の火が通らないでよく出来ません。それよりも最初下へ入れて、下の方が焼け過ぎたと思ったら上の段へ載せ換える方が便利です。しかしお菓子の類は途中で蓋を明けて冷い空気を入れると折角膨らんだ菓子が縮まってモー再び膨れませんから極く手速くしないといけません」と何から何まで委しき説明。玉江嬢は新しき智識を得たる如く悦び「私も田舎に親類が沢山ありますからその通りに知らせて遣りましょう。