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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

八十三

こんなに行き詰まっても、母親がまだ田舎へ帰るのを厭がっているのがもどかしくも思えた。

「正雄でも一人前にならにゃ、私も田舎へ提げて行く顔がないで。」と母親は切なげに言った。

「その間、私は私でどこかお針にでも行っているでいいわね。」

「お針って、お安さあはどんな仕事が出来るだい。」と伯母は手も遅く、気も利かない母親のことを嗤った。これまでにも、お庄に突き放されると、母親は、そこからそこまでへも、買物一つしに行くことが出来なかった。

お庄の帰ったのは、八時ごろであった。婚礼後、芳太郎と一緒に、一度挨拶に行ったことがあるので、家の様子は大概解っていた。お庄はその少し手前で俥から降りて、途中で買った手土産を挈げながら入って行った。

家はかなり人数が多かった。老人も子供もあった。お庄は一々それらの人に、叮寧に挨拶をしてから、自分ら夫婦のに決められた奥の部屋へ導かれた。芳太郎はちょうど湯に行っているところであった。

「どうもお世話さまでした。」と、お庄はランプを持って来てくれた細君に愛想よく礼を言って、まだ荷の片着かない部屋を見廻していた。

八十三

お庄もそこらを片着けてから、べとべとする昼間の汗を流して来ようと思って、鏡台の抽斗にしまっておいた糠袋などを取り出し、縁づいてからお袋が見立てて拵えてくれた細い矢羽根の置型の