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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
十四
叔母は主人のいない時に、綺麗なその部屋部屋へ入れて見せた。食堂の棚から、銀の匙や、金の食塩壺、見事なコーヒ茶碗なども出して見せた。錠を卸してある寝室へ入って、深々した軟かい、二人寝の寝台の上へも臥かされた。よく薬種屋の方へ遊びに来ている、お島さんという神奈川在産れの丸い顔の女が、この外人の洋妾であった。
「ここへ、あの人たちが寝るのさ。」と、色気のない叔母は、寝台に倚っかかっていながら笑った。
お庄は目のさめるような色の鮮やかな蒲団や、四周の装飾に見惚れながら、長くそこに横たわっていられなかった。湯島の下宿の二階で、女中に見せられた、暗い部屋のなかの赤い毛布の色が浮んだ。
淡紅い顔をしたその西洋人が帰って来ると、お島さんもどこからか現われて来て、自堕落な懶い風をしながら、コーヒを運びなどしていた。
この叔母が飲んだくれの叔父に、財産を減らされて行きながら、やはり思い断ることの出来ない様子や、そのまた叔父に、父親が次ぎ次ぎに金を出し出ししてもらってる事情が、お庄にも見え透いていた。
十四
父親は時々、この叔母の所有に係る貸家の世話や家賃の取立て、叔母の代のや、父親から持越しの貸金の催促――そんなようなことに口を利いたり、相談相手になったりした。