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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

三十七

「あすこも近ごろは身上を作ったそうで、良人からお庄をくれてやろうかなんて言ってよこしましたけれど、私は返事もしましねえ。」母親が父親のことを怒っている風がお庄にもおかしく思われた。

「お庄はまた会社の方で、くれろと言うものもあるで、少し裁縫でも上手になったら、私が東京で片づける。」と、叔父は自分の目算を話した。

お庄の縁談は、そのころもないことではなかった。小原という男なども、その胆煎りの一人であった。お庄を見に、小原と一緒に花など引きに来る男も一人二人あった。

叔母が湯治に行く時、叔父も湯治場まで送って行って二、三日逗留した。

叔母がいなくなると、その日その日の経営を、お庄は叔父から委されることになった。

お庄は長火鉢のところに坐って、世帯女のような気取りで、時々小遣い帳を拡げて拙い字でいろいろの出銭を書きつけた。

三十七

叔母は荒れた秋口の湯治場に、長く独りで留まっていられなかった。宿はめっきり閑になって、広くて見晴しのよい部屋が幾個も空いていた。経費も何ほどもかからなかったので、叔父はその一つに病気のある妻を入れておいて帰ったのであったが、叔母はそこが寂しいと言って、端書で零して来た。