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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

五十四

中には古い友達の中学の先生もあった。

金六町の方に設けられたその事務所へ、やがて一家が引き移ることになった。そこは灰問屋と舟宿との間に建った河岸に近いところであった。

田舎から出た当時から、方々持ち廻ったお庄親子の古行李が、叔父の荷物に紛れて、またそこの二階へ積み込まれることになった。

五十四

この家の格子先へ、叔父の能筆で書いた看板が掲けられたり、事務員募集の札が張られたりした。毎日寄って来る人たちは、店にならべた椅子卓子によって、趣意書や規則書のような刷り物の原稿を書いたり、基金や会員募集の方法を講じたりした。基金はまだ刷り物に書き入れてある額に達していなかった。会社のする仕事は、無尽のような性質を帯びた手軽な一種の相互保険であった。

二、三人の募集員が、汚い折り鞄を抱えて、時々格子戸を出入りした。昼になると、お庄はよく河岸の鰻屋へ、丼を誂えにやられた。

ここに寝泊りしている、若い事務員がただ独り、新しい帳簿のならんだデスクの前に坐って、退屈そうに、外を眺めたり、新聞を見たりしていた。そして時々想い出したように、会員名簿のようなものを繰ったり、照会の端書に返辞を書いたり、会費の集まり高を算盤で弾いたりしていた。