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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
七十三
芳太郎は金を持ち出して行くと、宿の方へ入り浸って、二日も三日も帰らなかった。お庄が来てからも、新婦の仕打ちに癇癪を起して、夜中に家を飛び出すこともめずらしくなかった。
お庄はぷりぷりして出て行く芳太郎を送り出すと、そっと戸締りをして、また寝所へ復った。そして楽々と手足を伸ばして甘い眠りに沈むのであった。
「おいおい。」
床屋の店から、芳太郎が声をかけた。お庄は黙って行き過ぎようとした。
七十三
「おい、お前どこへ行く。」と、芳太郎は後から追いかけて来た。
「四ツ谷の従姉さんのとこまで行って来ますの。」と、お庄は振り顧りながら言った。
「何しに行くんだい。」芳太郎は釈けかかった太い白縮緬の兵児帯をぐるぐる捲きつけながら、「お前今夜は帰りゃしないんだろう。己も一緒に行こう。」
「人に嗤われますよ。」と、お庄は後歯の下駄を鳴らしながら、停車場へ入って行った。
お庄が切符を買うと、芳太郎も鰐口から金を出して同じように四ツ谷行きを買った。
「一緒に行ったり何かして、後で叱られてもいいんですか。」お庄は念を押しながら埒の外へ出て行った。
お庄は内密で、従姉にいろいろ話したいこともあった。