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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
笹村よりかむしろ一歩先に作を公にしたことなどもあり、自負心の高い深山が、一ッ端働き出そうとしている様子がありあり笹村の目に見えた。いろいろの人がそこに集まっている様子なども、笹村の神経に触れた。
女同士のことで、深山の妹とお銀とは、裏で互いに往来していた。妹が茶の室へ来て、お銀や磯谷のことでも話しているらしいこともあったし、お銀から髢を借りて行ったり、洋傘を借りて行くようなこともあった。懇意ずくで新漬けを提げ出すこともあった。
「うるさいな。」笹村はぷりぷりした。
「お前はまたどうして深山のところへなぞ行くんだ。」ときめつけると、お銀は笑って黙っていた。
それでなくとも、心持のよく激変する笹村は、ふっとお銀の気もつかずに言ったことが、癪に触って怒り出した。
「帰ってくれ。お前に用はない。」
女は上眼遣いに人の顔をじろじろ見ながら、低い腰窓の下に体を崩して、じッとしていた。そこへ腰かけている笹村は、膝で女を小突いた。
「あなた私を足蹴にしましたね。」お銀は険しいような目色をした。
そういう女の太てたような言い草が、笹村の心をいよいよ荒立たしめた。女は顔の汗を拭きながら、台所へ立って行った。