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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

」

先生は時々笹村に尋ねた。その顔には、少しずつ躙られて行くような気の衰えが見えた。

笹村は新たに入った社の方の懸賞俳句の投稿などが、山のように机の上に積んであるのを見受けた。今まで道楽であった句選が、このごろ先生の大切な職務の一つとなったのが、惨ましいアイロニイのように笹村の目に閃いた。

「己は病気になるような悪いことをしていやしない。周囲が己を斃すのだ。」

先生は激したような調子で言った。その声にはこの二、三年以来の忙しい仕事や煩いの多い社交、冷やかな世間の批評に対して始終鼻張りの強かった先生の心からの溜息も聞かれるようであった。

ある胃腸病院へ診察を求めに行ったころは、そこの院長もまだはっきりした診断を下しかねていた。するうちに※の部分に痛みさえ加わって来た。

その日は、日暮れ方に衆と一緒に、病室を引き揚げた。

笹村が、ある晩二度目に尋ねて行った時には、広い部屋はいろいろの物が持ち込まれてあった。見慣れぬ美しい椅子があったり、綺麗な盆栽が飾られたりしてあった。火鉢、鍋、茶碗、棚、飲料、果物、匙やナイフさえ幾色か、こちゃこちゃ持ち込まれてあった。