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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

お今は肥った膝のうえに手巾を拡げて、時々サイダに咽喉を潤していたが、室と口を利くようなことはめったになかった。

室はどうかすると、幽鬱そうに黙り込んでしまった。

「あなたはほんとに真面目だわ。」

お増はビールを注いでやったりなどしたが、室は苦しそうに時々飲んでいるだけであった。

「今度二人で、どこかへ行ったらどう?」

お増は調子づいたように言いかけたが、やはり自分でしくじった。

夕方に三人はそこを出て、じきに電車で家へ帰った。

「駄目駄目。」

お増は家へ入ると、着物もぬがずに、べったり坐って、溜息をついた。

「人の気もしらないで、この人はどうしたというんだろ。」

五十一

お増がある物堅そうな家を一軒、小林の近所に見つけて、そこへお今を引き移らせてから大分たって、浅井がちょうど田舎から帰って来たのであった。

そこは小林の妾の身続きにあたる、ある勤め人の年老った夫婦ものであった。お増から身のまわりの物などを一ト通り分けてもらって、その家の二階に住まうことになったお今は、初めて世帯でも持つときのような不安と興味とを感じながら、ある晩方に、浅井の家を出て行ったのであった。