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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

少しは糸道が明いているのだからといって、三味線も教えてくれた。お庄は体の大きい叔母と膝を突き合わして、湯島の稽古屋で噛ったことのある夕立の雨や春景色などを時々一緒に謳った。叔母の知っている端唄なども教わったが、声がそんなものには太過ぎたし、手もしなやかに動く方ではなかったので、自分でも気がはずまなかった。

「わたし叔母さん駄目よ。」と、お庄は叔母が三味線を取り出すと、次の室へ逃げて行った。叔母は田舎風の節廻しで、独りで謳っていた。

叔母はお庄の欲しがるような大きな人形を買って来て、それに好みの衣裳を縫って着せなどした。向うの子供を呼び込んで、玩具を買って懐かしたり芝居の真似をさしておかしがったりしていたが、厭味なほどませたその子供は、お庄に馴染んで、夜も一緒に抱かれて寝た。お庄は子供を負って日に幾度となく自分の家と向うの家とを往復した。

金毘羅で講元をしていた大きな無尽の掛け金を持って、お庄は取り縋るこの子供を負いながら、夕方から出かけて行った。ここから金毘羅まではかなりの道程であった。お庄は鉄道馬車で行けるところまで乗って、それからえッちらおッちら歩いて行った。