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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

女はそれでも逃げようとはしなかった。

「ほんとに妙な気象だ。私が言わなくたって、人がみんなそう言っていますもの。」

女はがくがくする頭髪を、痛そうに振り動かしながら、手で抑えていた。

笹村が、ふいに手を女の頭へあげるようなことは、これまでにもちょいちょいあった。寝ている女の櫛をそっと抜いて、二つに折ったことなどもあった。女は打たれるよりか、物を壊されるのが惜しかった。笹村の気色が嶮しくなって来たと見ると、箪笥や鏡台などを警戒して、始終体でそれを防ぐようにした。

笹村は、弱い心臓をどきどきさせながら、母親の手に支えられて、やっと下に坐った。下駄や帽子を隠された笹村は、外へ飛び出すことすら出来ずにいた。

二人は、時の力で、笹村の神経の萎えて行くのを待つよりほかなかった。

二、三日外をぶらついているうちに、今まで見せつけられていた他のお銀が、また目に映りはじめて来た。

「私今度という今度こそは逐い出されるかと思った。」

お銀は仔羊のように柔順しくなって来た。笹村の顔色を見ると、じきにその懐へ飛び込んで来るような狎れ狎れしさを見せて来た。

「けれど、お前も随分ひどいからな。