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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁

青空文庫

湯から上ってみると、男湯の方にはもう繁三も弟も見えなかった。お庄は一人で暗い外へ出ると、温かい湯の匂いのする溝際について、ぐんぐん歩いて行ったが、どこへ行っても同じような家と町ばかりであった。お庄はさっき車夫が上ったような暗い坂を上ったり下りたり、同じ下宿屋の前を二度も三度も往来したりした。するうちに町がだんだん更けて来て、今まで明るかった二階の板戸が、もう締まる家もあった。

菊太郎と繁三とが捜しに来たころには、お庄はもう歩き疲れて、軒燈の薄暗い、とある店屋の縁台の蔭にしゃがんで、目に涙をにじませながらぼんやりしていた。

「お前まあ今までどこにいただえ。」女主は帳場の奥から、帰って来たお庄に声かけた。

「東京には人浚いというこわいものがおるで、気をつけないといけないぞえ。」

お庄はメソメソしながら、母親の側へ寄って行った。

ごちゃごちゃした部屋の隅で、子供同士頭顱を並べて寝てからも、女主と母親と菊太郎とは、長火鉢の傍でいつまでも話し込んでいた。

「為さあは、何をして六人の子供を育てて行くつもりだかしらねえけれど、取り着くまでには、まあよっぽど骨だぞえ。