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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
線上閱讀徳田 秋声《日本の文学 9 徳田秋声(一)(あらじょたい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 頁
」と女主は東京へ出てからの自分の骨折りなどを語って聞かせた。
「私らも、田舎でこそ押しも押されもしねえ家だけれど、東京へ出ちゃ女一人使うにも遠慮をしないじゃならないで……。」
田舎では問屋本陣の家柄であった女主は、良人が亡くなってから、自分の経営していた製糸業に失敗して、それから東京へ出て来た。そして下宿業を営みながら、三人の男の子を医師に仕立てようとしていた。それまでに商売は幾度となく変った。
翌日父親が来たとき、母親と子供は、狭い部屋にうようよしていた。
「とにかくどんなところでもいいで、家を一つ捜さないじゃ……話はそれからのことですって。」と父親は落ち着き払って莨を喫していた。
午後に菊太郎と父親とは、近所へ家を見に出た。家はじきに決まった。すぐ横町の路次のなかに、このごろ新しく建てられた、安普請の平屋がそれで、二人はまだ泥壁に鋸屑の散っている狭い勝手口から上って行くと、台所や押入れの工合を見てあるいた。
「田舎の家から見れア手狭いもんだでね。」と菊太郎は砂でざらざらする青畳の上を、浮き足で歩きながら笑った。
「まあ仮だでどうでもいい。新しいで結構住まえる。