Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 231,525 characters · 463 screens

Aozora Bunko

二

「ふム又八か、あの伜は、あまり出来がようないから、かえって、養子をもろうたほうが、おぬしのためじゃないかの」

「何をいわっしゃる。よかれ悪しかれ、わしの子でござる。武蔵は、この身にとって子の仇、こやつの身の処置は、この婆に、まかせて下されい」

すると――婆のそういう言葉を、誰かうしろの方で遮った者がある。ならん! という横柄な声だった。人々は、その人物の袂にさわることを怖れるようにさっと開いた、例の山狩の大将、どじょう髯の武士の顔がそこに見えた。

二

おそろしく不機嫌なていでいる。

「こらッ。見世物ではないぞ、百姓や町人どもは、立ち去りおろう」

どじょう髯は、呶鳴った。

沢庵も、横からいった。

「いや、村の衆、去るには及ばんよ、武蔵の処分をどうするか、相談のため、わしが呼んだのだ、いておくれ」

「だまれっ」

どじょう髯は、肩をそびやかし、そういう沢庵をはじめ、お杉隠居と群集を睨めまわして、

「武蔵めは、国法を犯した大罪人、しかも、関ヶ原の残党、断じてその方どもの手で処置することは相成らん。成敗は、お上においてなされる」

「いけないよ」

沢庵は、顔を振って、

「約束がちがう!」