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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 231,525 characters · 463 screens
二
「――なんじゃっ、番士」
ふいに、庄田が立って戸外の人影へいった。
番士のうしろには、城太郎が立っていた。庄田は、
「おや?」
と、眼をみはった。
二
「おじさん、今日は――」
「こら、なんで貴さま、お城へなど入って来たか」
「門にいた人に連れて来てもらったんだ」
城太郎の答えに無理はない。
「なるほど」
庄田喜左衛門は、彼を連れて来た大手門の番士に、
「なんだ、この小僧は」
「あなた様にお目にかかりたいと申すので」
「こんな小僧のことばを取り上げて、御城内へ連れて来てはいかん。――小僧」
「はい」
「ここはお前たちの遊びに来る場所ではない。帰れ」
「遊びに来たんじゃない。お師匠様の手紙をもって、使いに来たんだ」
「お師匠様の……。ははあ、そうか。おまえの主人は、武者修行だったな」
「見てください、この手紙」
「読まんでもいい」
「おじさん、字が読めないのかい?」
「なに」
苦笑して――
「ばかをいえ」
「じゃあ、読んだらいいじゃないか」
「こいつ、喰えん小僧だ。読まんでもいいというのは、たいがい、読まなくとも分っているという意味だ」
「わかっているにしても、一応は読むのが礼儀じゃないか」