Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Read 親鸞 (しんらん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 566,138 characters · 1127 screens
どこかに、面影がある。
いや、ありすぎる――と旅商人の堀井弥太は、そう思いながら、彼の磊落な話しぶりに、誘いこまれて、腹をかかえた。
「はははは。――道理で、疱瘡神のように、顔も頭も、腫れておる」
「まだ、いたい」
「懲りたがよい」
「何の、懲りる男じゃない」
「法衣はきても相かわらずの武者魂、それでこそ、生きている人間らしい」
「生れ変ってこぬうちは、その魂というやつ、氷の上に坐らせても、滝に打たせても、たやすくは、変らぬものじゃて」
「わけて弓矢にきたえられた根性は。――したが一別以来、お互いに、変らぬ身こそ、まずめでたい」
「いや、おぬしの身装は、ひどう変っておるぞよ。初めは、誰かと見違えた」
「これは砂金売りの旅商人、よも、侍と見るものはあるまい」
「陸奥守藤原秀衡が身うち、堀井弥太ともある者が、いつの間に、落魄れて、砂金商人にはなりつるか、やはりおぬしも、無常の木々の葉――。梢から、何かの風に、誘われたな」
「何の」と、弥太は手を振った。
「これは、世をしのぶ、仮の姿じゃ」
「さては、京都へ、密使にでも来たという筋あいか」
「ま、そんなもの」
「俺の身の上ばかり糺さいで、その後のおぬしの消息、さ、聞こう。