Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
春風便
一
「わかった。――だけど、おじさんは、おらが帰って来る間、何処に待ってるの」
「こういたそう。わしは奈良へ先に行っている。居所は、槍の宝蔵院で聞けばわかるようにいたしておく」
「きっと」
「はははは、まだ疑っているのか、こんど約束を違えたら、わしの首を打て」
笑いながら茶店を出る。
そして武蔵は奈良へ。――城太郎はまた京都へ。
四つ街道は、笠や、燕や、馬のいななきで混み合っている。その間から城太郎が振り返ると、武蔵もまだ立ちどまっていた。二人はニコと遠い笑いを見交わして別れた。
春風便
一
恋風が来ては
袂に掻いもたれて
喃、袖の重さよ
恋かぜは
重いものかな
阿国歌舞伎でおぼえた小歌を口誦みながら、朱実は、家の裏へ下りて、高瀬川の水へ、洗濯物の布を投げていた。布を手繰ると、落花の渦も一緒に寄って来た。
思えど思わぬ
振りをして
しゃっとしておりゃるこそ
底はふかけれ――
河原の堤の上から、
「おばさん、歌がうまいね」
朱実は振向いて、
「誰?」
長い木刀を横にさし、大きな笠を背負っている侏儒のような小僧である。朱実がにらむと、まるッこい眼をぐりぐりうごかし、人馴っこい歯を剥いてにやりとした。