Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
これはほんの一例に過ぎないが、良家の子が兵となれば、結局こんなことになるのである。入営の送迎に旗を立ててゆく我が国風とは、あまりに相違しているではないか。いかなる名将勇士でも、国民の後援がなければ思うようの働きは出来ない。その国民がこの如くに兵を嫌い兵を憎むようでは、士気の振わないのも当然であるばかりか、まじめな人間は兵にならない。兵の素質の劣悪もまた当然であると云うことを、私はつくづく感じた。
平和を愛するのはいい。しかしこれほどに武を憎む国民は世界の優勝国民になり得ない。シナはあまりに文弱であり過ぎる。これと反対の一例を私が実験しているだけに、この際いよいよその感を深うしたのである。
劉家へ来るひと月ほど以前に、私は海城北方の李家屯という所に四日ばかり滞在したことがある。これも相当の大家であったが、私が宿泊の第一日には家人は全く姿をみせず、老年の雇人ひとりが来て形式的の挨拶をしただけで、万事の待遇が甚だ冷淡であった。
その第二日に、その家の息子らしい十二、三歳の少年が私の居室の前に遊んでいた。彼は私の持っている扇をみて、しきりに欲しそうな顔をしているので、私はその白扇に漢詩の絶句をかいてやると、彼はよろこんで貰って行った。