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Japanische Klassiker mit Furigana

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きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme

Aozora Bunko

すると、一時間あまりの後に、その家の長男という二十二、三歳の青年が衣服をあらためて挨拶に来て、先刻の扇の礼を云った。青年は相当の教育を受けているらしく、自由に筆談が出来るので、だんだん話し合ってみると、この一家の人々は私がカーキー服を来て半武装をしているのを見て、やはり軍人であると思っていたらしい。しかも白扇の題詩を見るに及んで、私が軍人でないことを知ったというのである。日本の軍人に漢詩を作る人はたくさんあるが、シナにはないと見える。

ともかくも私が文字の人であることを知ると共に、一家内の待遇が一変した。長男が去ると、やがてまた入れ代って主人が挨拶に来た。日が暮れる頃には酒と肉を贈って来た。他の雇人らも私をみるといちいち丁寧に挨拶するようになった。長男の青年は毎朝かならず挨拶に来て、何か御用は無いかと云った。私がいよいよ出発する時には、主人や息子たちは衣服をあらためて門前まで送って来た。他の雇人らも総出で私に敬礼した。

敬意を表されて腹の立つ者はない。私もその当時は内々得意であったが、後に遼陽城外の劉家に来て、かの奉天歩隊の勘当息子をみるに及んで、彼らが余りに文を重んじ、武を軽んずるの甚しきを憐れむような心持にもなって来た。