Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
どこやらでは鶯が鳴いています。相も変らぬ爪さき上がりに少しく倦んで来たわたしは、小さい岩に腰を下ろして巻煙草をすいはじめました。霧が深いのでマッチがすぐに消えます。案内者も立ち停まって同じく煙管を取り出しました。
案内者は正直そうな男で、煙草のけむりを吹く合い間にいろいろの話をして聞かせました。妙義登山者は年々殖える方であるが暑中は比較的にすくない、一年じゅうで最も登山者の多いのは十月の紅葉の時節で、一日に二百人以上も登ることがある。しかし昔にくらべると、妙義の町はたいそう衰えたそうで、二十年前までは二百戸以上をかぞえた人家が今では僅かに三十二戸に減ってしまったと云います。
「なにしろ貸座敷が無くなったので、すっかり寂れてしまいましたよ。」
「そうかねえ。」
わたしは巻煙草の吸殻を捨てて起つと、案内者もつづいて歩き出しました。山霧は深い谷の底から音も無しに動いて来ました。
案内者は振り返りながらまた話しました。上州一円に廃娼を実行したのは明治二十三年の春で、その当時妙義の町には八戸の妓楼と四十七人の娼妓があった。妓楼の多くは取り毀されて桑畑となってしまった。