Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
勿論、この時代にはそれがむしろ普通のことで、素人――榎本君は素人ではないが、その当時はまだ其の伎倆を認められていなかった――が寄り集まって書いた脚本が、こういう風に鉈を加えられたり、鱠にされたりするのは、あらかじめ覚悟してかからなければならないのであった。わたしが榎本君に対して不平らしい口吻を洩らしたのは、要するに演劇の事情というものに就いて私の盲目を証拠立てているのであった。
「素人の書いたものは演劇にならない。」
それが此の時代に於いては動かすべからざる格言として何人にも信ぜられていた。劇場内部のいわゆる玄人は勿論のこと、外部の素人もみんなそう信じていた。今日の眼から観れば、みずから侮ること甚だしいようにも思われるかも知れないが、なんと理窟を云っても劇場当事者の方で受付けてくれないのであるから、外部の素人は田作の歯ぎしりでどうにもならない。たとい鉈でぶっかかれても鱠にきざまれても、採用されれば非常の仕合せで、鉈にも鱠にも最初から問題にされてはいないのであった。もっとも福地先生はこういうことを云っていられた。
「いくら楽屋の者が威張っても仕方がない。