Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
子供の飛ばす凧は鳶から思い付いたもので、日本ではトンビ凧といい、漢字では紙鳶と書く。英語でも凧をカイトという。すなわち鳶と同じことである。それを見ても、遠い昔から人間と鳶とは余ほどの親しみを持っていたらしいが、文明の進むに連れて、人間と鳶との縁がだんだんに遠くなった。
日露戦争前と記憶している。麹町の英国大使館の旗竿に一羽の大きい鳶が止まっているのを見付けて、英国人の館員や留学生が嬉しがって眺めていた。留学生の一人が私に云った。
「鳶は男らしくていい鳥です。しかし、ロンドン附近ではもう見られません。」
まだ其の頃の東京には鳶のすがたが相当に見られたので、英国人はそんなに鳶を珍しがったり、嬉しがったりするのかと、私は心ひそかに可笑しく思った位であったが、その鳶もいつか保護鳥になった。東京人もロンドン人と同じように、鳶を珍しがる時代が来たのである。もちろん鳶に限ったことではなく、大都会に近いところでは、鳥類、虫類、魚類が年々に亡びて行く。それは余儀なき自然の運命であるから、特に鳶に対して感傷的の詠嘆を洩らすにも及ばないが、初春の空にかのトンビ凧を飛ばしたり、大きな口をあいて「トンビ、トロロ」