Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate
三度の食事と、おかわの出し入れ。そのとき以外は戸口に錠がおろされるし、老女も階下へおりていった。
「もう江戸から来た頃だわ」
つなはそっと呟いた。
「葛西屋にはきっと手が廻ったに違いない、江戸から誰が来るかわからないけれど、葛西屋へ泊れば捉まってしまう」
それは見えるようであった。
「誰が来たかしら、もしかしてあの方だったら、――そしてもしかしてあの方が捉まったとしたら、――」
つなは身ぶるいをした。
万三郎の俤は明瞭ではない、会ったのは一度きりである。それもほんの短い時間、増六の二階のうす暗い行燈の光りで、おちつかない用を兼ねての対面だった。
――やがてこれが自分の良人になる人だ。
そのときつなは自分にそう云った。半年以上もまえから、彼が自分を欲しがっていることは聞いていたし、自分もそのときの来るのを、ひそかに待っていた。
――これがその人だ。
眼の前にいる万三郎が、はっきり婚約こそしないが、自分の良人になる人だと思った。そうしてそれだけで、(切迫した事情のために)あわただしく別れたのであった。
はっきりした眼鼻だちであった。切れあがった口尻や眼のあたりに愛嬌があった。