Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate
六
六
二挺をかけた舟が、洲崎弁天社の海際に着けてあった。
待っていた梶原大九郎と村野伊平の二人が、四人を迎えてすぐに舟へ乗った。舟の中にはもう一人、おちづがいて、
「まあよかった、御無事でしたのね」
と万三郎を見て云った。
暗いのですぐにはわからなかったが、おのおの座を取って舟が出ると、万三郎はようやく気がついて「ああ」と声をあげた。
「――おまえだったのか」
「ええあたしでしたの」
「そうか、うん、そうだったか」
万三郎は二度も三度も頷いた。彼の眼には涙が滲んだ。
――土台石の隙間から聞えたのはこの娘の声だったのだ。
増上寺山内の「和幸」のときも助けられ、こんどもまたこの少女のために助けられた。彼はいつか兄たちのすることを、ひそかに怒ったことがあった。
――半次やこんな少女に、危険を冒させるなんてひどい。
しかし、そう思った彼自身が、二度まで危ないところを救われたのである。
「三郎、あの覆面の剣士は誰だ」
舟が大川ぐちに向って進みだすと、休之助が弟のほうへ振返って訊いた。
「誰でしょう、私も知りません」
「太田は知っているか」
「い、いや、――」
太田嘉助は少し吃る癖がある。