Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate
十一
男がかよのほうへ顔をすり寄せるのが見えた。
十一
「放して下さい、放して」
かよの抑えた叫びが聞えた。
「静かにしないか、かよ、冗談ではないぞ」
男の声が急にまじめになった。その声でかよは鎮まり男の顔を見あげた。
「わしが江戸から来たにはわけがあるんだ、その話をするためにこうして、――」
あとは声をひそめたので、万三郎には聞えなかったがかよのようすが変るのは、月の光りをあびてよく見ることができた。
「この上に加波山神社というのがあるそうではないか」
と男が高い声で云った。
「そこへいって、月を眺めながら一杯やるとしよう、たまには風流も味わうものだ」
男は肩にかけた五合入りほどの、大きなふくべを振ってみせ、かよを抱くようにしながら、谷尻の木戸のほうへ去っていった。
――尋常なことではないな。
万三郎はそう直感した。
江戸の情勢に変化があって、それをかよだけに知らせるのかもしれない。また、それは単なる口実で、本当は人のいない処へおびき出したうえ、かよに乱暴をはたらくのかもしれない。いずれにもせよ、尋常でない事が起こりそうに思えた。
万三郎は丸太小屋へ戻った。
そして伝次に耳うちをし、空の一升徳利を取出したうえ少し時を計って、二人で出ていった。