Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate
菊明り
一
ているだけなんですが、老女と遊んでいるときお子さんが、
――麹町六丁目の花田だがね。
などと大きな声で、誰かの口まねのようなことを仰しゃるのを聞いたというんです」
「松之助ですよ、それは間違いなしです」
「たぶんそうだろう」
徹之助は弟を抑えて市郎兵衛に云った。彼は妻子の安否よりも、その娘の存在のほうに気を惹かれたようであった。
「その娘というのは、なにか頼むことができるだろうか」
「それはもう頼みました」
と市郎兵衛は眩しそうな眼つきをした。
「じつはその八重という娘は、私と婚約がございますので、隙をみて御妻女と連絡をとるように、絶対にはたの者に気づかれてはならないからと云って、頼んでおきました」
徹之助は満足そうに頷いて、これで今日は散会にすると云った。
菊明り
一
万三郎は酔っていた。
彼は酒には強いほうだったし、たいてい飲んでも酔わない自信があった。
三人の護衛付きで、偽のつなに案内されたのは、御成り道に近い「和幸」という茶屋であった。増上寺へ参詣する人たちの休み茶屋らしいが、奥には離れ座敷が幾つもあり、植込の繁った庭のようすなど、どうやら出合茶屋といったけしきであった。