Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate
「こうしなければならないんだ」
と彼は云った。
「どうか勘弁して呉れ」
謡の声はもうやんでいた。
万三郎は階段を登り、用心ぶかくようすをうかがった。有明行燈の光りで、座敷牢の太い格子が見えた。しかし逆光線なので、中にいる人の姿はわからなかった。
――ほかに人はいない。
彼は低い声で呼びながら、そっちへ駆け寄った。
「つなさん、私です」
ああと呻くような声が聞えた。
万三郎は格子の側へゆき、錠前をあけた。昂奮しているし、指が凍えているので、二度も三度も失敗した。
「ああ、万三郎さま、ああ、万三郎さま」
中でそう呟くのが聞えた。
つなが自分の両手を胸の上でしっかりと握り合せ、祈るような、涙のいっぱい溜まった眼で、じっと万三郎をみつめながら、殆んど夢中に呟いているのであった。
高い音と共に、錠があいた。
九
つなは静かだった。
とびついて来るかと思ったが、そうではなく、身をちぢめてすっと出て来ると、おちついた声で云った。
「有難うございました」
そしてなにか慥かめるような眼で万三郎を見あげながら、
「貯蔵庫の在り場所はわかりましたでしょうか」
と訊いた。万三郎はうっと云った。