Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

Leggi 風流太平記 (ふうりゅうたいへいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 244.473 caratteri · 487 schermate

Aozora Bunko

そのまるい眼がすばやく左右に動いていた。

「紀州さまお浜屋敷でございますな」

と若侍は門番に云った。

「甲野殿を訪ねてまいった者ですが、通って宜しゅうございますか」

「失礼ですが御姓名をどうぞ」

老人の番士がもの憂げに云った。

「長崎からまいった花田万三郎という者です、休之助の弟で、手紙が届いている筈です」

「すると、――」

老番士の顔が驚きのために緊張した。

「するとお手前さまは、甲野休之助殿をお訪ねでございますか」

「そうです」

「それはそれは」

老番士は声をはずませた。すぐにはあとが続かないらしく、痩せた頸の大きな喉ぼとけを二三度も上下させた。

「こうのと仰しゃったので、ほかのこうのさまかと思いましたが、甲野休之助さまだとすると非常にお気の毒でございます」

「甲野がどうかしたのですか」

「ゆうべ自火をお出しなさいましてな、夜半の、さよう子ノ刻半(一時)ごろでございましたろうか」

「自火というのは火事ですか」

若侍はじれったそうに訊き返した。

「さよう、とつぜんの出火で」

老番士は舌っ足らずな口ぶりで続けた。

「まったくとつぜんの出火で、それもたいそう火のまわりが早かったものですから、人が出てみたときは貴方もう、屋根が焼けぬけておりましてな、まるでもう手のつけられないありさまでして」