후리가나로 읽는 일본 고전
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
新渡戸 稲造의 自警録(じけいろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,224자 · 328화면
善事の背後にも敵がある
数千の軍中よりただ一人選抜された名誉は顧みぬとしても、全源氏軍の名誉をただ一身に荷って弓を引いたときの心はいかであったろう。命中したればこそ敵も味方も賞歎したものの、弓を引き絞った時、矢を放った時の心の苦しみはどうであったろう、思ってここに至ればまことに同情に堪えぬと。実に見る人が見れば、何人の行為についても、一大決心をもってするもので、自己の所信、自己の意志を貫徹することの容易ならぬことが察せらる。
善事の背後にも敵がある
ついでに加えて述べたきことは、与一の場合にも彼が扇を覗うあいだには、必ず彼の失敗を祈ったものがあったであろう。しかもそれは平家方のみでなかったであろう。また奥州より出て来たあの田舎武士が、御大将の眼前で晴れの武術を示すなど分に過ぎたる果報者だと羨んだものもあったろう。また彼の技倆を疑える者は、彼が遣り損えばよい、自分が代って見事に遣って見ようというものもあったであろう。あまり邪推をまわすようではあるが、ふつうの人情より考えてかくありそうに思われる。彼が成功したと同時に、大喝采を受けたことは歌にも歴史にも記してある通りであるが、またその後においてただちに彼の名誉を傷つけんとしたり、彼を怨み嫉んだ者から見れば、彼が人目を惹き世にはびこったことを喜ばぬものがいかに多かったであろう。