후리가나로 읽는 일본 고전
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
新渡戸 稲造의 自警録(じけいろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,224자 · 328화면
入学試験中、俥を待たした不思議の婦人
七月の初め、一週間ばかり続いた暑さの強い日がちょうど全国の高等学校入学の試験の定日であった。中学を卒業した四月から、以来は三度の食事も省略するほどに時を惜み、夜も眠らず、眠気がさせば眼に薄荷までさして、試験の準備に余念ない三千ちかくの青年が、第一高等学校の試験場に群り来たり、いよいよ教室に入るその刹那まで、準備を怠らぬくらいであるからして、試験以前の十日間の勉強は実に兵士の戦闘準備どころか、実戦にとりかかっていると同じ感がする。すなわち試験以前の一旬間の惨憺たるさまは父兄友人はいうまでもなく、少しく今日の日本の教育並びに試験の制度を知るものは、察するにあまりありというくらいである。ゆえに中には試験の始まる前に、すでに根気がつきたり、病に罹ったり神経衰弱あるいは脳貧血あるいは不消化不眠症等に罹るものは、おそらく百をもって数えるであろう。
入学試験中、俥を待たした不思議の婦人
さきにいった、第一高等学校の試験の初日であった。僕が各教場を通って廊下に出て、玄関の側を歩んで来ると、ちらりと眼に映ったものは、分館の玄関のわきに一台の人力車の傍に立っている車挽と、これを隔つること一間ばかり傍に、袋を手にしている四十ちかくの婦人であった。