후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
新渡戸 稲造의 自警録(じけいろく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,224자 · 328화면
一円の小遣いを一円の財布に投じた経験
一円の小遣いを一円の財布に投じた経験
僕が十一、二歳のころ東京に遊学していた際に、郷里から兄が上京して来た。その節の土産として大枚金一円貰ったことがある。そのころ僕の小遣銭は一週間に二十銭と定まっていたからして、一円紙幣を手にしたことはおそらくそのとき初めてであったろう。そこで僕の頭に第一に浮かんだ問題は、この大金を入るべき相当な財布を得ることであった。ただちに袋物屋に走って種々の財布や紙入れを見た。中にすこぶる気に入ったのが一つあったから、それを取ることに定めて、値段を糺すと一円ということであった。すなわち懐中に持参の一円紙幣を払って空の紙入れを家に持って帰ったことがある。
笑うにも及ばぬほどの愚なる一場の話に過ぎぬが、その後四十余年のちの今日に至るまで、この経験が僕に教えた教訓ははなはだ少なくない。一身を顧てもあるいは他人を見ても、月給が入った、金を儲けたからとて、無駄の浪費をしている人を見ると、彼奴め一円取って一円の財布を買っているわいと思う。大いに勢力のある位置を獲たと喜んで、その勢力を振りまわす人を見ると、彼奴一円の勢力を得て一円だけ威張って、あとは空になっているわいと思う。