후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
でも――と伸子は、なお思いつづけるのだった。川辺みさ子のような天才についての本質的な考えちがい、芸術が人々の心にしみ入り、そこに場所を占めてゆく過程とナポレオン風な力ずくのような征服をごちゃまぜにする途方もなさが、果して川辺みさ子の頭の中だけにあったことだろうか。伸子にはそう思えなかった。伸子が、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来るまでの生活でぶつかりつづけて来た母の多計代のものの考えかた、文学上の名声だの名誉だのというものについての感じかたは、伸子がまともに生きようと願えばそれとたたかわずにいられない本質のものだった。多計代の名声欲につよく反撥する伸子の心もちがそのまま川辺みさ子の天才主義に抵抗したのであってみれば母としての多計代とピアニストとしての川辺みさ子の態度に共通な世俗的な英雄主義があるわけだった。そして、詮じつめれば、それも二人の気の勝った女性が偶然もち合わせた共通な性格というようなものではなくて、個人と個人のたえまないはたき落しっこで一方は栄達し一方は没落してゆくという風な、激甚で盲目的で血みどろな生存のためのあらそいがよぎなくされている旧い社会のしきたりの中では、ひとりでに固められて来た観念でもある。