후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
ただ人々は、そのあらそいの凄まじさをむき出しにして、うっかり勝利の前ぶれなどをして自分への敵意を挑発する危険から身を守るために、つつましさだの、謙遜だのというつけ黒子をはるのだ。伸子は日本の風習にある、ほとんど偽善に近いつつましさの強制について思わずにいられなかった。それは女にとって何と特別に負わされている重荷だろう。川辺みさ子には、生きてゆく要所要所につけ黒子をはってゆく狡猾な用意がなかったのだ。彼女はおどろくほど一途で正直だった。伸子はそうも思うのだった。川辺みさ子の生涯には、川辺みさ子の生きた社会の姿がそっくり映し出されている。
伸子の下宿のその室には、大きな煖炉がきられていた。冬の季節がすぎて、その中に火がたかれなくなってから程たっている。春の煖炉の、冷えてくらい炉の上の棚に、伸子が街で買って来たパンジーの花束が飾られている。
その下をゆっくり歩きながら、ウィーンで命を絶った川辺みさ子がいまになってみれば、きょうの自分といくらもちがわない年ごろであったことを考え、伸子は新しい哀れに誘われた。あのことがあってから七年も八年もたった。伸子もモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来てからは新しい社会が作家や音楽家の生活状態がどんなにいろいろな関係の面で変るものかという事実を目撃している。