轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
「おらあ一人ぼっちだ、小さいじぶん、火事のために親きょうだいを一遍にとられてから、きょうだいはともかく、一人でもいい、親が欲しかった」栄二はそこで強く歯をくいしばった、「――あんなことさえなければ、おめえといっしょにくらすことができたのに」
「それはうれしいがね、栄さん、一人ぼっちっていうのは間違いじゃないか」と与平が云った、「――もっこ部屋のなかまはともかく、おまえさんにはさぶちゃんとか、おすえちゃん、おのぶさんって人がいるだろう」
栄二は与平を振り向いて見た。
「ああ知ってるとも」と与平は頷いた、「わたしは三人とも知ってるよ、そしていつだったか、さぶという人にもっとやさしくしてやったらどうか、と云ったことがある筈だ」
「覚えてる」栄二はそう云って酒を啜り、背筋をまっすぐに坐り直した、「せっかくのお別れだ、その話はよそう」
「どんな人間だって独りで生きるもんじゃあない」と与平は栄二の言葉を聞きながして続けた、「――世の中には賢い人間と賢くない人間がいる、けれども賢い人間ばかりでも、世の中はうまくいかないらしい、損得勘定にしても、損をする者がいればこそ、得をする者があるというもんだろう、もしも栄さんが、わたしたちの恩になったと思うなら、わたしたちだけじゃなく、さぶちゃんやおのぶさん、おすえちゃんのことを忘れちゃあ