轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

「さぶじゃあねえ」と彼は嗚咽しながら独り言を云った、「さぶとはきょうだい同様にくらしてきたし、あんなことをするような理由がねえもの、あいつはおれを頼りにしていた、おれがいなくなれば途方にくれるだろう、――どうしたってあのうちの者のしたことだ」

なにめそめそしてんのさ、という女の声が耳の奥で聞えた。どうせ世の中は欲と金、ぱあっとやっちゃおうよ、ぱあっとさ、えらそうに構えてたって死ぬときゃあ乞食や非人と変りゃあしないんだ、骨になりゃあ大名も犬猫もおんなしこった、ねえちょいと、めそめそしないでぱあっとやっちゃおうよ。あたいしんそこ惚れちゃった、とべつの女の声がした。本当よあんた、こんな気持はじめて、ねえ、あたいを女房にしてくんない。

「あたいを女房にしてくんない、へっ」栄二は濡れた眼のまわりと頬を手で押しぬぐいながら、また唾を吐いた、「――みんなおんなじようなことを云うぜ、あたしのことお嫁に貰ってくれないって、誰かもそう云ってたっけ」

栄二の躯が急に硬ばり、その眼が暗い地面の一点をみつめて動かなくなった。

あんまり乱暴にしないでね、とまたべつの女の声が聞えた。