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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

三

お出向き遊ばすなら、充分兵備をしておいでなさい」

袁尚は、五万の兵をつれて、城門からそこへ出向いた。袁譚は、そう知ると、

「面倒だ、ぶつかれ」と、急に、鼓を打ち鳴らして、戦いを挑んだ。

陣頭で、兄弟が顔を合わせた。一方が、兄に刃向いするかと罵れば、一方は、父を殺したのは汝だなどと、醜い口争いをしたあげく、遂に、剣を抜いて、兄弟火華を散らすに至った。

袁譚は敗れて、平原へ逃げた。袁尚はさらに兵力を加え、包囲して糧道を断った。

「どうしよう、郭図」

「一時、曹操へ、降服を申入れ、曹操が冀州を衝いたら、袁尚はあわてて帰るにちがいありません。そこを追い討ちすれば、難なく、囲みはとけ、しかも大捷を得ること、火を見るより明らかでしょう」

郭図は袁譚へそうすすめた。

三

「たれか使いの適任者はいるだろうか。曹操に会ってそれを告げるに」

「あります。平原の令、辛毘ならきっといいでしょう」

「辛毘ならわしも知っている。弁舌さわやかな士だ。早速運んでくれい」

袁譚のことばに、郭図はすぐ人を派して辛毘を招いた。

辛毘は欣然と会いにきて、袁譚から手簡を受けた。袁譚は使いの行を旺にするため、兵三千騎を附してやった。