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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
公孫康は、その儀もっともなり――と決心して、一方人を派して、曹操の動静をうかがわせ、曹軍の攻め入る様子もないと見極めると、一日、城下にある袁兄弟へ使いをやって、酒宴に迎えた。
袁煕と、袁尚は、
「さてはそろそろ出軍の相談かな? 何といっても曹操の脅威をうけている折だから、吾々の協力もなくてはかなうまい」
などと談じ合いながら登城してきた。
ところが、一閣の室に通されて見ると、この寒いのに、暖炉の備えもなく榻の上にも敷いてなかった。
ふたりは面をふくらせて、
「われわれの席はどこですか」と、尊大ぶった。
公孫康は、大いに笑って、
「今から汝ら二つの首は、万里の遠くへ旅立つのに、なんで温き席がいろうや」
と、いうや否や、帳の陰を振りかえって、それっと合図した。
十余名の力者は一斉におどり出して、二人へ組みつき、左右から脾腹に短剣を加え、袁煕、袁尚ともども無造作に首にしてしまった。
易州に陣取ったまま、曹軍は依然、動かずにあったが、夏侯惇、張遼などは、その間、しばしば曹操へ諫めた。
「もし、遼東へ攻め進むお心がないならば、はやく都へご凱旋あっては如何です。なすこともなく、こんな所に滞陣しているのは無意味でしょう」