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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
二
「どうしよう?」
腹ちがいの子三人の幼い者を擁して、後妻の章氏も途方にくれていた。
ところへ、大学をほぼ卒業した長男の瑾が、洛陽から帰ってきた。
そして洛陽の大乱を告げた。
「これから先、世の中はまだまだどんなに混乱するかわかりません。黄巾の乱は諸州の乱となり、とうとう洛陽まで火は移ってきました。この北支の天地も、やがて戦乱の巷でしょう。ひとまず南のほうへ逃げましょう。江東(揚子江流域、上海、南京地方)の叔父さんを頼って行きましょう」
瑾は義母を励ました。
この長男も世の秀才型に似あわず至って謹直で、よく継母に仕えその孝養ぶりは、生みの母に仕えるのと少しも変りはないと、世間の褒められ者であった。
二
戦乱があれば、戦乱のない地方へ、洪水や飢饉があれば、災害のなかった地方へ――大陸の広さにまかせて、大陸の民は、流離漂泊に馴れている。
「南へ行きましょう」と、諸葛氏の一家が、北支から避難したときも、黄巾の乱後の社会混乱が、どこまでつづくか見通しもつかなかった頃なので、
「南へ」
「南の国へ」と、北支や山東の農民は、水の低きへつくように、各※(二の字点、1-2-22)、世帯道具や足弱を負って、江東地方(揚子江の下流域、南京、上海)へ逃散して行くものが大変な数にのぼっていた。